それまで、奇妙なことに思われようが、私は金阁と空袭と结びつけて考えてみたことがなかった。サイバンが陥いてこのかた、本土空袭は免れないものとされ、京都市の一部にも强制疎开が急がれていたが、それでも、金阁というこの半ば永远の存在と空袭の灾祸とは、私の中でそれぞれ无縁のものでしかなかった。金刚不壊の金阁と、あの科学的な火とは、お互いにその异质なことをよく知っていて、会えばするりと身をかわすような気がしていた。しかし、やがて金阁は、空袭の火に焼き灭ぼされるかもしれぬ。このまま行けば、金阁は灰になることは确実なのだ。