その日、空は晴れていた。
7月7日。俗にいう、七夕である。
正直に言って、梅雨时季の真っ最中であるこの日が晴れる事は、奇迹に等しい。
そのくらい、毎年雨が降った。
が、今年はどういうわけか、空はカラリと晴れ渡ったのだ。
しかしそうなると、当然、世间では各々の家で七夕を祝う。
そしてそれは、この木ノ宫宅でも例外では无い。
ましてや 去年はメンバー全员が世界大会で国外にいた为、
こうやって集って年中行事を祝うのは初めての経験だったりする。
「ああ、违いますよ、タカオ!それはこっちです!」
「うるせーな、キョウジュ!んなの、どこだっていいじゃん!」
「そんな事言ってたら、笹が倒れてしまうでしょう!?
そんな事もわからないんですか?」
「っかー!!はいはい、わかったよ!言う通りにすりゃいいんだろ?」
言い合いをしながらも、楽しそうに笹を饰り付けるタカオとキョウジュ。
そんな二人の后ろで、不服そうに颜をしかめながらも、笹を束ねるカイ。
レイはその光景を、ただ何をする事もなく、やや离れた縁侧からぼうっと见ていた。
そして、ふと中に见惯れた色がない事に気付き、何気なく周囲を见渡した。
すると、向いの部屋にちらちらとその金色 が见える。
フスマの荫にいる为か良くは见えないが、どうやら机に向かって何か作业をしているようだ。
何となく気になって、部屋へと赴き、背后から覗き込んでみる。
彼の手には、色彩鲜やかな纸が握られていた。
「あ、レイ」
気配を感じたのか、ゆっくりとその头が动く。
「どしたノ?」
「いや、何してるのかと思って。
それより、マックス。ソレ、なんだ?」
言いながら、彼が手に持っているモノをしげしげと见つめる。
折り纸だろうか。
机の上には何らかの纸片らしき物体がいくつも転がっている。
「ああ、七夕の饰り作ってるんだヨ」
「それが?」
しかしどれを取っても、どうもただ纸を折り畳んだだけの物体にしか见えない。
レイが怪讶そうな表情を见せると、マックスは少し悪戯っぽく笑い、
「うん。见てて」
と赤い纸片を一つ摘まみ上げる。
そしてハサミで丁宁に何ケ所か切り込みを入れ、ゆっくり広げると。
「ほら、朱雀♪」
纸片は见事に、一羽の圣獣へとその姿を変えた。
思わずレイが感叹の声をあげる。
「へえ、凄いな。お前こんな事できるのか?」
誉められて嬉しいのか、マックスは得意気に微笑んだ。
「うん。结构こういうの得意だから」
「なあ、白虎も作れるか?」
「颜だけならネ。作ろっか?」
「ああ、頼む」
うん、と軽く颔いて、マックスは白い纸を手に取った。
作业の间中、レイはじっとその様子を凝视していた。
一体何がどうなっているのかわからないくらい、纸は复雑に折られていく。
それを作るマックスの手つきは、実に鲜やかで。
とは言え、アメリカ暮しが长かろう彼がこんな事に长けている、という事実は、少し奇妙な気分になるが。
そんな事を考えていると、ふと别のモノが目に飞び込んで来た。
一枚の细长い纸。
---もしかしたら、マックスの短册なのかもしれない。
何が书かれてあるのかが、気になった。
そっと手を伸ばしてみると。
「ああ、それボクの短册ダヨ」
とマックスが笑颜でひったくった。
「・・・何で隠すんだ?」
「见られたくないから」
不服そうなレイに対し、マックスはさらりと言ってのける。
至极真っ当な意见である。
だがレイは妙に纳得がいかなかった。
それは、隠し事をされているのが不愉快だ、という気分も否めないのだが、
何より、彼の笑颜が通常の数倍、胡散臭い。
「何を企んでいる?」
「やだなあ、企むなんて。ちょっと见られると耻ずかしいだけ。ネ?」
指を立てて笑う様は、あからさまに白々しい。
「・・・なあ、マックス」
低い声でレイは言う。
「いいから、见せろ?」
穏やかな笑みを浮かべているものの、
何やら変に気迫の笼ったレイを见て、マックスは少し狼狈える。
「や、ヤだよ・・・」
「どうしても见せないっていうなら・・・」
「・・・?」
「これから毎晩夜中に、お前の耳もとで中岛み○きオンパレード(低音)を歌い続けてやる。」
―――なんて胁迫か。
マックスの头は真っ白になった。
「なんだったら、石○裕次郎でもいいぞ」
「・・・いや、もうイイ」
何故か嬉し気なレイに対し、マックスは心底疲れた颜で首を横に振った。
そして谛めたように、短册を手渡す。
「・・・おい、これ・・・?」
渡されたのは真っ黒な短册。
「一応ゲンカツギで、ボクは黒なの。
だからレイのは白。タカオが青。カイは赤」
「いや、それはいいとして。字が読めないじゃないか」
「わざと」
「・・・谋ったな?」
「工夫すれば见られるネ」
何て面倒なことを、とレイは思ったが、
见せろと自分で言った手前、意地でも见なければならない。
そして。
「・・・・・・」
愿いごとの中身を见て、レイは思わずマックスを凝视した。
视线を受け、マックスは嬉しそうに微笑む。
「・・・・见たからには、手伝ってヨ?」
それは、ささやかな愿いごと。
人から见れば、案外くだらない。
夜中になり。
正直な所、星空はあまり拝めなかった。
天気が悪くなった訳ではない。
ただ、东京の空があまりに汚いだけである。
しかし、人々にとってあまりそこは问题ではなかったらしい。
そして、それは彼等にとっても。
适当に騒いで、适当に凉んで、适当に食べて。
最后に笹を饰りごと燃やしてしまった。
「まあ、晴れたってことが重要なんだよねー」
「・・・そうか?」
「晴れなきゃお祭り出来ないでしょ?」
「まあな」
木ノ宫宅は、二人暮しの家にしては无駄に広い。
マックスとレイの二人は、寝所を离れ、真っ暗になった廊下を静かに歩いている。
家の住人が全员眠りについているため、辺りは水をうったように静まりかえっていた。
「しかし、なあ。・・・本気か?」
隣を歩くマックスに、レイは小声で讯ねる。
「うん」
「でもお前、とんでもない事だぞ?」
不安そうなレイをちらりと见上げ、マックスは呟いた。
「レイ、あのね。愿いごとは叶わなきゃいけないんダ」
「何だ、ソレは・・・」
訳のわからない言叶に、レイは軽く溜め息をつく。
そして、廊下の突き当たりで、二人は足を止めた。
目的地についたのだ。
真っ暗な部屋は、どこかひんやりしている。
家の人间に気付かれない様、明かりを落として、二人でゴソゴソと何かを探しはじめた。
居候になって结构な日が経っている为、
ある程度の物の位置はわかるのだが、何せ他人の家である。
こうやって无断で 部屋の中を渔るのは、流石に忍びない。
再度、レイは大きく溜め息をついた。
すると。
「昔」
突然、マックスが言叶を漏らす。
「大昔、たった一つ愿いごとをしたンダ」
酷く穏やかな声。
「デモ、结局叶わなかった。家族、バラバラになっちゃった。」
暗がりの为、ハッキリとは见えないが、どこか远くを见つめているような表情。
「――――でも、それはきっと、叶えようとしなかったから。
愿うだけじゃ駄目なんだ。自分で、叶えないと。」
いつもは无邪気に辉くその目が、一瞬、寂し気に揺れたような気がして。
レイは言叶に诘まりかける。
が。
彼が手にしたモノを目にすると、軽くかぶりを振った。
「マックス・・・・」
レイはマックスを穏やかな目で见つめる。
そして、静かに言った。
「・・・・そんな一见マトモそうな意见を述べた所で、お前のやってるコトは多分正しくないぞ」
「え?何で!?」
银色に钝く辉くバリカンを持ったまま惊くマックスに、レイは溜め息をつく。
「何でって、そりゃあ、なあ・・・・」
「だってレイだって、アレ気になるデショ?」
「确かにそれはそうだが・・・」
「だったら、実行に移さなきゃ。ほら、早く行コ?」
先程の表情はどこへやら。
无意味な情热を露にしつつ、マックスがレイを促した时。
バンッ
背后で急に扉が开く音がした。
二人が慌てて振り返ると、
「・・・・何をしている、贵様ら」
そこには、眉间に皱を寄せたカイが立っていた。
その様子は、あきらかに怒っている。
「あ、あれ?カイ・・?」
「起きた、のか・・・?」
颜を引きつらせる二人に、カイは低い声で问いかける。
「そこで何をしている、と闻いている」
「何って、その」
「探し物ネ・・・」
「人様の家の洗面所でか?」
「いや、ちょっと、糸ようじどこかなーって・・・」
「・・・・じゃあ、その手のバリカンは何だ?」
「えーっと、それは、その・・・・」
「まあ、これは、何て言うか・・・」
冷や汗をかきながら言い淀む二人。
そんな様子を一瞥し、カイは无言で一枚の黒い短册を取り出した。
「「!?」」
二人の颜が瞬时に固まった。
「・・・何だ?コレは・・・?」
そう言ったカイの声はとても静かだが、明らかに杀意を含んでいて。
逃げ出そうと思ったが、カイが戸口に立っているため、逃げ场はない。
二人はじりじりと追い诘められて行く。
「・・・・だから、俺は无茶な愿いだって言ったんだ・・・」
「・・・だって、あの二色头、地毛かどうか気になるって、前レイ言ってたじゃん・・・・?」
「だからって、何で『カイのハゲ头が见たい』なんて短册に书くんだ・・・?无茶だ、无谋だ・・・・・」
「あは、ハゲたら生えてきた时にわかる、かなーって・・・・」
ボソボソと小声で嗫き合う二人に、カイは冷笑を见せる。
―――その手に、ドランザーを构えて。
「覚悟は、いいな?」
凄まじい轰音と、二人の少年の绝叫が周囲にこだました。I
7月7日。俗にいう、七夕である。
正直に言って、梅雨时季の真っ最中であるこの日が晴れる事は、奇迹に等しい。
そのくらい、毎年雨が降った。
が、今年はどういうわけか、空はカラリと晴れ渡ったのだ。
しかしそうなると、当然、世间では各々の家で七夕を祝う。
そしてそれは、この木ノ宫宅でも例外では无い。
ましてや 去年はメンバー全员が世界大会で国外にいた为、
こうやって集って年中行事を祝うのは初めての経験だったりする。
「ああ、违いますよ、タカオ!それはこっちです!」
「うるせーな、キョウジュ!んなの、どこだっていいじゃん!」
「そんな事言ってたら、笹が倒れてしまうでしょう!?
そんな事もわからないんですか?」
「っかー!!はいはい、わかったよ!言う通りにすりゃいいんだろ?」
言い合いをしながらも、楽しそうに笹を饰り付けるタカオとキョウジュ。
そんな二人の后ろで、不服そうに颜をしかめながらも、笹を束ねるカイ。
レイはその光景を、ただ何をする事もなく、やや离れた縁侧からぼうっと见ていた。
そして、ふと中に见惯れた色がない事に気付き、何気なく周囲を见渡した。
すると、向いの部屋にちらちらとその金色 が见える。
フスマの荫にいる为か良くは见えないが、どうやら机に向かって何か作业をしているようだ。
何となく気になって、部屋へと赴き、背后から覗き込んでみる。
彼の手には、色彩鲜やかな纸が握られていた。
「あ、レイ」
気配を感じたのか、ゆっくりとその头が动く。
「どしたノ?」
「いや、何してるのかと思って。
それより、マックス。ソレ、なんだ?」
言いながら、彼が手に持っているモノをしげしげと见つめる。
折り纸だろうか。
机の上には何らかの纸片らしき物体がいくつも転がっている。
「ああ、七夕の饰り作ってるんだヨ」
「それが?」
しかしどれを取っても、どうもただ纸を折り畳んだだけの物体にしか见えない。
レイが怪讶そうな表情を见せると、マックスは少し悪戯っぽく笑い、
「うん。见てて」
と赤い纸片を一つ摘まみ上げる。
そしてハサミで丁宁に何ケ所か切り込みを入れ、ゆっくり広げると。
「ほら、朱雀♪」
纸片は见事に、一羽の圣獣へとその姿を変えた。
思わずレイが感叹の声をあげる。
「へえ、凄いな。お前こんな事できるのか?」
誉められて嬉しいのか、マックスは得意気に微笑んだ。
「うん。结构こういうの得意だから」
「なあ、白虎も作れるか?」
「颜だけならネ。作ろっか?」
「ああ、頼む」
うん、と軽く颔いて、マックスは白い纸を手に取った。
作业の间中、レイはじっとその様子を凝视していた。
一体何がどうなっているのかわからないくらい、纸は复雑に折られていく。
それを作るマックスの手つきは、実に鲜やかで。
とは言え、アメリカ暮しが长かろう彼がこんな事に长けている、という事実は、少し奇妙な気分になるが。
そんな事を考えていると、ふと别のモノが目に飞び込んで来た。
一枚の细长い纸。
---もしかしたら、マックスの短册なのかもしれない。
何が书かれてあるのかが、気になった。
そっと手を伸ばしてみると。
「ああ、それボクの短册ダヨ」
とマックスが笑颜でひったくった。
「・・・何で隠すんだ?」
「见られたくないから」
不服そうなレイに対し、マックスはさらりと言ってのける。
至极真っ当な意见である。
だがレイは妙に纳得がいかなかった。
それは、隠し事をされているのが不愉快だ、という気分も否めないのだが、
何より、彼の笑颜が通常の数倍、胡散臭い。
「何を企んでいる?」
「やだなあ、企むなんて。ちょっと见られると耻ずかしいだけ。ネ?」
指を立てて笑う様は、あからさまに白々しい。
「・・・なあ、マックス」
低い声でレイは言う。
「いいから、见せろ?」
穏やかな笑みを浮かべているものの、
何やら変に気迫の笼ったレイを见て、マックスは少し狼狈える。
「や、ヤだよ・・・」
「どうしても见せないっていうなら・・・」
「・・・?」
「これから毎晩夜中に、お前の耳もとで中岛み○きオンパレード(低音)を歌い続けてやる。」
―――なんて胁迫か。
マックスの头は真っ白になった。
「なんだったら、石○裕次郎でもいいぞ」
「・・・いや、もうイイ」
何故か嬉し気なレイに対し、マックスは心底疲れた颜で首を横に振った。
そして谛めたように、短册を手渡す。
「・・・おい、これ・・・?」
渡されたのは真っ黒な短册。
「一応ゲンカツギで、ボクは黒なの。
だからレイのは白。タカオが青。カイは赤」
「いや、それはいいとして。字が読めないじゃないか」
「わざと」
「・・・谋ったな?」
「工夫すれば见られるネ」
何て面倒なことを、とレイは思ったが、
见せろと自分で言った手前、意地でも见なければならない。
そして。
「・・・・・・」
愿いごとの中身を见て、レイは思わずマックスを凝视した。
视线を受け、マックスは嬉しそうに微笑む。
「・・・・见たからには、手伝ってヨ?」
それは、ささやかな愿いごと。
人から见れば、案外くだらない。
夜中になり。
正直な所、星空はあまり拝めなかった。
天気が悪くなった訳ではない。
ただ、东京の空があまりに汚いだけである。
しかし、人々にとってあまりそこは问题ではなかったらしい。
そして、それは彼等にとっても。
适当に騒いで、适当に凉んで、适当に食べて。
最后に笹を饰りごと燃やしてしまった。
「まあ、晴れたってことが重要なんだよねー」
「・・・そうか?」
「晴れなきゃお祭り出来ないでしょ?」
「まあな」
木ノ宫宅は、二人暮しの家にしては无駄に広い。
マックスとレイの二人は、寝所を离れ、真っ暗になった廊下を静かに歩いている。
家の住人が全员眠りについているため、辺りは水をうったように静まりかえっていた。
「しかし、なあ。・・・本気か?」
隣を歩くマックスに、レイは小声で讯ねる。
「うん」
「でもお前、とんでもない事だぞ?」
不安そうなレイをちらりと见上げ、マックスは呟いた。
「レイ、あのね。愿いごとは叶わなきゃいけないんダ」
「何だ、ソレは・・・」
訳のわからない言叶に、レイは軽く溜め息をつく。
そして、廊下の突き当たりで、二人は足を止めた。
目的地についたのだ。
真っ暗な部屋は、どこかひんやりしている。
家の人间に気付かれない様、明かりを落として、二人でゴソゴソと何かを探しはじめた。
居候になって结构な日が経っている为、
ある程度の物の位置はわかるのだが、何せ他人の家である。
こうやって无断で 部屋の中を渔るのは、流石に忍びない。
再度、レイは大きく溜め息をついた。
すると。
「昔」
突然、マックスが言叶を漏らす。
「大昔、たった一つ愿いごとをしたンダ」
酷く穏やかな声。
「デモ、结局叶わなかった。家族、バラバラになっちゃった。」
暗がりの为、ハッキリとは见えないが、どこか远くを见つめているような表情。
「――――でも、それはきっと、叶えようとしなかったから。
愿うだけじゃ駄目なんだ。自分で、叶えないと。」
いつもは无邪気に辉くその目が、一瞬、寂し気に揺れたような気がして。
レイは言叶に诘まりかける。
が。
彼が手にしたモノを目にすると、軽くかぶりを振った。
「マックス・・・・」
レイはマックスを穏やかな目で见つめる。
そして、静かに言った。
「・・・・そんな一见マトモそうな意见を述べた所で、お前のやってるコトは多分正しくないぞ」
「え?何で!?」
银色に钝く辉くバリカンを持ったまま惊くマックスに、レイは溜め息をつく。
「何でって、そりゃあ、なあ・・・・」
「だってレイだって、アレ気になるデショ?」
「确かにそれはそうだが・・・」
「だったら、実行に移さなきゃ。ほら、早く行コ?」
先程の表情はどこへやら。
无意味な情热を露にしつつ、マックスがレイを促した时。
バンッ
背后で急に扉が开く音がした。
二人が慌てて振り返ると、
「・・・・何をしている、贵様ら」
そこには、眉间に皱を寄せたカイが立っていた。
その様子は、あきらかに怒っている。
「あ、あれ?カイ・・?」
「起きた、のか・・・?」
颜を引きつらせる二人に、カイは低い声で问いかける。
「そこで何をしている、と闻いている」
「何って、その」
「探し物ネ・・・」
「人様の家の洗面所でか?」
「いや、ちょっと、糸ようじどこかなーって・・・」
「・・・・じゃあ、その手のバリカンは何だ?」
「えーっと、それは、その・・・・」
「まあ、これは、何て言うか・・・」
冷や汗をかきながら言い淀む二人。
そんな様子を一瞥し、カイは无言で一枚の黒い短册を取り出した。
「「!?」」
二人の颜が瞬时に固まった。
「・・・何だ?コレは・・・?」
そう言ったカイの声はとても静かだが、明らかに杀意を含んでいて。
逃げ出そうと思ったが、カイが戸口に立っているため、逃げ场はない。
二人はじりじりと追い诘められて行く。
「・・・・だから、俺は无茶な愿いだって言ったんだ・・・」
「・・・だって、あの二色头、地毛かどうか気になるって、前レイ言ってたじゃん・・・・?」
「だからって、何で『カイのハゲ头が见たい』なんて短册に书くんだ・・・?无茶だ、无谋だ・・・・・」
「あは、ハゲたら生えてきた时にわかる、かなーって・・・・」
ボソボソと小声で嗫き合う二人に、カイは冷笑を见せる。
―――その手に、ドランザーを构えて。
「覚悟は、いいな?」
凄まじい轰音と、二人の少年の绝叫が周囲にこだました。I