黒坚木涂鞘短剣拵
(Kuro kata-ki nuri saya,tanken koshirae)
拵全长(whole length) 一尺五寸八分四厘(48cm)
柄长 (Hilt length) 四寸一分二厘半(12.5cm)
桜花文図镡 无铭 素铜地六つ木瓜形银覆轮
Tsuba; "Sakura" made of Suaka, Mokko shape, covered with silver on the rim
仁王図目贯 胧银地容雕毛雕色絵
Menuki ; "Nioh" made of Oboro-gin, iroe
银地金具 other fittings which was made of silver
附短刀 无铭 新々刀
come in Tanto no sign Shinshinto
刃长 (hacho) 八寸五厘(24.4cm) 反り (sori) なし(no curvature)
元幅 (motohaba) 八分四厘 (2.55cm) 重ね (Kasane) 二分(0.62cm)
银着一重ハバキ fitted with silver foil single habaki
平成5年东京都登录(26807号 4月20日)
価格 23万円Price 230,000JPY
一风変わった様相の坚木柄鞘の剣拵。头と铛のすぼまった独特の形状で、银地金具で巻き缔められて、镡は花を象って、地金にも花図が散らされている。柄の目贯は筋骨隆々たる仁王図で、表裏阿吽の様相をなし、覇気に満ち、拵に力强さを加えている。これは中国古代の剣の様式を模した作で、韩信股潜り図(注)で、主人公が背にしている剣に极めてよく似た形状である。韩信は、项羽との戦いを制して汉帝国を打ち立てた刘邦に仕え、「背水の阵」などの卓抜なる戦术で知谋の将と讴われた、あの韩信である。
股潜りの物语は韩信が未だ主君を求めて修业している顷の逸话である。韩信が町を歩いているとならず者がとぐろを巻いている。 ならず者は韩信が身に付けている立派な剣に目を付けた。
「おい、见ろ。あいつ、みすぼらしい身形なのに、ずいぶんご立派な剣を背にしているじゃねえか。」
「あんな奴に相応しくないですよ。兄贵のものにしちまえばいいでしょう。」
「そうだな。」
そういってならず者の长は、韩信の前に立ちはだかり、通せんぼをした。
「おい、お前!その剣を置いていけ。どうせ戦死者からとった物でお前のものじゃないだろう?」
「いや、これは私の剣です。」
「そんならこの俺を、斩って见せろよ。」
「それは出来ない。通してくれ。」
「いや、通さねえ。通りたきゃ、俺の股をくぐって通れ。」
と理不尽なことを言い、裾をまくって韩信をあおった。野次马が集まり、大変な人垣ができてしまった。
韩信は「こやつ、剣の锖にしてくれようか。」と一瞬思ったが、ここで闷着を起こして无益な杀生をしてはならん、と思い直し、歯を食いしばって男の股の下をくぐったのである。
男は「话にならん。これじゃまるで犬だ。そんな腰抜けの剣など俺はいらん。はははは」と高らかに笑いながら去った。
「ならぬ堪忍 するが堪忍」
この时の韩信の行动がこの戒めそのもの。
韩信はその后もこの调子で、数々の苦难を乗り越え、人を见る目を磨き、己の人间を锻えていったのであろう。日の出の势いの将军项羽に仕えるも、项羽の器の小ささと残忍さに嫌気がさしてその幕下を去り、后に天下を取る刘邦の旗下に籍を置くことになるのも、こうした苦节の日々の积み重ねと无縁ではないだろう。
附帯する短刀は江戸后期の制作とみられ、身幅寻常で重ね控えめとされ、无反りの镰仓后期の短刀を想わせる古风な姿。柾目锻えの地鉄は强く肌立ち、粒だった地沸が锻えに沿って流れ、淡く汤走りかかり、沸映り风の映りが再现されており、古寺社の古钉などを卸すなどして锻錬に工夫した迹が认められる。刃文は直刃、刃区上で焼き落としされ、微かに小互の目を交え、刃境に汤走りかかって処々ほつれ、二重刃を交え、小形の金线・砂流し微かにかかり、刃縁は小沸で明るい。帽子は扫き挂けて小丸、长めに返る。无铭ながら生ぶの茎は舟底形で先细く绞られて微かにたなご腹ごころがあり、古作に仿ったとみられる键穴形の目钉穴が穿たれている。外装に相応しい古风な作をとの需に応えて、悠久の名工の秘术に挑んで苦心した心意気を称えたい。幕末の武士の志向が示されて、実に兴味深い作例となっている。
(Kuro kata-ki nuri saya,tanken koshirae)
拵全长(whole length) 一尺五寸八分四厘(48cm)
柄长 (Hilt length) 四寸一分二厘半(12.5cm)
桜花文図镡 无铭 素铜地六つ木瓜形银覆轮
Tsuba; "Sakura" made of Suaka, Mokko shape, covered with silver on the rim
仁王図目贯 胧银地容雕毛雕色絵
Menuki ; "Nioh" made of Oboro-gin, iroe
银地金具 other fittings which was made of silver
附短刀 无铭 新々刀
come in Tanto no sign Shinshinto
刃长 (hacho) 八寸五厘(24.4cm) 反り (sori) なし(no curvature)
元幅 (motohaba) 八分四厘 (2.55cm) 重ね (Kasane) 二分(0.62cm)
银着一重ハバキ fitted with silver foil single habaki
平成5年东京都登录(26807号 4月20日)
価格 23万円Price 230,000JPY
一风変わった様相の坚木柄鞘の剣拵。头と铛のすぼまった独特の形状で、银地金具で巻き缔められて、镡は花を象って、地金にも花図が散らされている。柄の目贯は筋骨隆々たる仁王図で、表裏阿吽の様相をなし、覇気に満ち、拵に力强さを加えている。これは中国古代の剣の様式を模した作で、韩信股潜り図(注)で、主人公が背にしている剣に极めてよく似た形状である。韩信は、项羽との戦いを制して汉帝国を打ち立てた刘邦に仕え、「背水の阵」などの卓抜なる戦术で知谋の将と讴われた、あの韩信である。
股潜りの物语は韩信が未だ主君を求めて修业している顷の逸话である。韩信が町を歩いているとならず者がとぐろを巻いている。 ならず者は韩信が身に付けている立派な剣に目を付けた。
「おい、见ろ。あいつ、みすぼらしい身形なのに、ずいぶんご立派な剣を背にしているじゃねえか。」
「あんな奴に相応しくないですよ。兄贵のものにしちまえばいいでしょう。」
「そうだな。」
そういってならず者の长は、韩信の前に立ちはだかり、通せんぼをした。
「おい、お前!その剣を置いていけ。どうせ戦死者からとった物でお前のものじゃないだろう?」
「いや、これは私の剣です。」
「そんならこの俺を、斩って见せろよ。」
「それは出来ない。通してくれ。」
「いや、通さねえ。通りたきゃ、俺の股をくぐって通れ。」
と理不尽なことを言い、裾をまくって韩信をあおった。野次马が集まり、大変な人垣ができてしまった。
韩信は「こやつ、剣の锖にしてくれようか。」と一瞬思ったが、ここで闷着を起こして无益な杀生をしてはならん、と思い直し、歯を食いしばって男の股の下をくぐったのである。
男は「话にならん。これじゃまるで犬だ。そんな腰抜けの剣など俺はいらん。はははは」と高らかに笑いながら去った。
「ならぬ堪忍 するが堪忍」
この时の韩信の行动がこの戒めそのもの。
韩信はその后もこの调子で、数々の苦难を乗り越え、人を见る目を磨き、己の人间を锻えていったのであろう。日の出の势いの将军项羽に仕えるも、项羽の器の小ささと残忍さに嫌気がさしてその幕下を去り、后に天下を取る刘邦の旗下に籍を置くことになるのも、こうした苦节の日々の积み重ねと无縁ではないだろう。
附帯する短刀は江戸后期の制作とみられ、身幅寻常で重ね控えめとされ、无反りの镰仓后期の短刀を想わせる古风な姿。柾目锻えの地鉄は强く肌立ち、粒だった地沸が锻えに沿って流れ、淡く汤走りかかり、沸映り风の映りが再现されており、古寺社の古钉などを卸すなどして锻錬に工夫した迹が认められる。刃文は直刃、刃区上で焼き落としされ、微かに小互の目を交え、刃境に汤走りかかって処々ほつれ、二重刃を交え、小形の金线・砂流し微かにかかり、刃縁は小沸で明るい。帽子は扫き挂けて小丸、长めに返る。无铭ながら生ぶの茎は舟底形で先细く绞られて微かにたなご腹ごころがあり、古作に仿ったとみられる键穴形の目钉穴が穿たれている。外装に相応しい古风な作をとの需に応えて、悠久の名工の秘术に挑んで苦心した心意気を称えたい。幕末の武士の志向が示されて、実に兴味深い作例となっている。